吾唯足知つくばい(龍安寺)

吾唯足知つくばい(龍安寺)

3年位前に、庭じまいの仕事をさせていただきました。お父様が亡くなられて庭の手入れをする人がいなくなり、また近隣にコインパーキングが無いことから法事をするにも不便で、庭を縮小して駐車スペースを拡張しました。合わせて、庭に置かれていた曳き臼の処分も依頼されましたが、亡くなられたお父様のこだわりで、どこかで別注で造らせたとの事。よくよく見ると吾唯足知(われ、ただ、たるをしる)≠ニ刻まれていました。

枯山水の石庭で有名な龍安寺の北側の庭に、徳川光圀が寄進したと言われている蹲(つくばい)があります。銭形の中央の口の周りに吾唯足知(われ、ただ、たるをしる)≠ニ刻まれています。吾(私は)唯(ただ)足るを知る(中国語で知足は満足の意)「いつも満足であるという気持ちを持ちなさい」と言う禅の教え。言い換えれば「満たされていても、感謝の心が無ければ空虚である」ではないでしょうか。

きっとお父様の座右の銘であり、何かの機会にそれを石臼に刻んでもらったのかと思います。ご縁あって私が庭じまいさせていただき、この石臼を引き継がせていただくこととなりました。「吾唯足知」を知る私が引き継がせていただく事に、ご家族様にも喜んでいただきました。

私自身も龍安寺が好きで、十数度は訪れています。その事もあって、私自身の座右の銘も吾唯足知≠ナあり、私は30歳の時に、中国の書家に揮毫していただきました。偶然とは言え、お会いもしたことのない方と、同じ座右の銘を持つ者が引き継がせていただくのは、ご佛縁としか言い様がありません。

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